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PJ: 今藤 泰資

平戸異聞・南蛮文化と、「ジャパネットたかた」の関係=長崎
2007年03月02日 12:04 JST


平戸市内のメインストリートにある「ジャパネットたかた」の出生の店。教えられなければ、通り過ぎてしまう間口2間もない小さなこの店、現在は高田社長の実兄が経営するカメラ店だ。(撮影:今藤泰資) 

ご存知、「ジャパネットたかた」は今や売上高906億円(2005年12月期)を誇るわが国最大級の通販会社。創業者の高田明氏はパソコンやデジカメという「機械モノ」を通信販売で販路を拡大、金利は全額販売側負担、納入前の対応と処理、徹底したアフターサービスという新機軸のネットを全国に構築してきた。その手腕は只者ではない。本社が長崎県の佐世保市にあるローカルカンパニーである。自前の放送局を有し全国制覇をなした経緯は、「ユニクロ」の本社が山口県宇部市に存在するのと同様の構図。創業者は海辺で生まれ育ち、本社の近辺に空港があるのが佐世保であり宇部ということなのだ。

 全国有数の企業に成長した「ジャパネットたかた」は、昭和61(1986)年1月、高田明氏は実父の経営するカメラ販売店「有限会社たかたカメラ」から独立、「株式会社たかた」を立ち上げた。全国各地でカメラ店が閉鎖に追い込まれるなか、1999年現社名に変更、その後テレビ、ラジオに「連動する折込広告」などの新戦略で通信販売業のトップ企業に躍り出たが、実はこの会社の創業者高田明氏が、南蛮文化の島・長崎県の平戸が出生の地だと知る人は少ない。

 周縁の人、あるいは辺境の人を「マージナル・マン」(Marginal man)と呼ぶ。水際線、分水嶺などの国境線など「塞翁が馬的」場所で生まれ育った人物は、世の趨勢を見極める術に長け、変化に対応するとされ、日本の実業家では、利根川の流域で生まれたのは明治を代表する実業家澁澤栄一であり、西武グループの総帥、堤康二郎は琵琶湖岸の人である。長州の吉田松陰や土佐の坂本竜馬も海を見て育った。辺境の人とは、機を見るに敏、時代の変換に聡くなければ生きて行けない世界の人ということになる。

 2004年3月、「40万人の情報漏えい事件」の直後、「ジャパネットたかた」は素早く営業を自粛、しばらくは画面から遠ざかった。事件について、当時の西日本新聞は、『「顧客第一を企業理念としていちずに走ってきた。顧客情報流出という大事な部分で不安を与え、心からおわびします」―本社での会見。高田社長は、やや青ざめた表情で頭を下げた。同社は現在、約十五億円をかけてテレビショッピング開始十周年記念企画の真っ最中。しかし、高田社長は名簿流出を受け、この記念企画や受注以外のすべての通販業務中止を即断した。今月だけで損失予想は数十億円。「損失が百億円を超えようが関係ない。顧客の理解を得られるまで自粛は続けたい」。危機感がにじんだ。』と好意的な取り上げている。小島に生まれ育った男に身についた危機意識の高さ。昨今の政治家や、一流企業の経営者が学ぶべき行動であり発想である。

 南蛮の島・平戸で耳にした「ジャパネットたかた」異聞。今朝もテレビ画面から、高田社長の甲高い声が流れ、カラオケマイクを手にする姿が見られることだろう。非上場のこの会社、いずれは中国や韓国からアジア諸国に雄飛する日も近いに相違ない。そう思うのは、かならずしも、PJばかりではないはず。辺境の人は、いつも次なる飛躍を考え、固定概念の中に生きないからである。【了】

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