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PJ: 宮本 聰

大手製薬会社はどうしてジェネリック医薬品を作らないの?
2010年05月17日 11:12 JST

【PJニュース 2010年5月17日】国内大手製薬会社では、主力医薬品の特許期限切れ問題で頭を痛めているらしい。俗に「製薬会社の2010年問題」と言われている。特許切れを迎えると、大幅な収入減(売上減)となり経営を圧迫するからだ。このことは以前から分かっていたことだが、それらに代わる新薬開発のめどが立っていないから深刻だ。必死になって企業買収や技術供与などを行っている。

特許が切れても、自社でそのままジェネリックを作ればいいではないかと素人は思う。また、医療費抑制策(ジェネリック医薬品普及策)をとる日本の国策に寄与できるはずである。また同一会社がジェネリックを供給すれば、問題となっている信頼性が担保され、医師が処方するようになるはずだ。ジェネリック医薬品の特許切れは国にとっても国民からも大歓迎である。ところが大手製薬会社は容易に手をつけない。大手製薬会社としての自信とプライドが邪魔しているのだろうか。

■続々と特許切れになる大型医薬品
医薬品の特許有効期間は出願日から20年で、有効成分を持つ物質や製造方法などが対象となる。経営危機をむかえる製薬会社が続出すると考えられている。2010年を挟んで前後2年位の間に大型新薬が次々に特許切れとなる。

例えば、武田薬品工業(タケブロン、アクトス、プロブレス)、アステラス製薬(プログラフ、ハルナール)、第一三共(クラビット)、エーザイ(アリセプト、バリエット)など、いずれも全世界で売上高1000億円以上の大型製品である。この穴を埋めるほどの新薬はそう簡単に開発されそうにない。日本の製薬会社は窮地に追い込まれ、世界的なメガファーマに吸収されるかもしれない危険をはらんでいる。

■新薬開発競争へまっしぐら
医薬品開発には莫大な開発費と時間を必要とする。短縮されたといっても10年から20年かかると言われる。候補物質を見いだせても、その物質の薬としての有効性や安全性、さらには製造方法の検討など、臨床研究や治験を終えて薬価申請へと進める可能性は近年狭められている。このため、多くの会社は生き残りをかけM&A(企業買収・合併)や特定の分野に強い企業を見つけて技術を買い取ったりしている。

新薬開発競争には開発費がものをいう。製薬会社の中には売り上げの20〜30%を注ぎ込む会社もある。売り上げ1兆円そこそこの会社と5兆円の会社とでは勝負は目に見えている。それでも日本の会社はひたすら新薬開発競争に明け暮れているように見える。

経営理念とは、単に企業利益を上げるだけではない。医薬品開発を通じて国民の医療に貢献することと製薬会社はうたっているではないか。なぜ大手製薬会社は、特許切れ製品を自らジェネリック医薬品に移行しようとしないのか不思議でならない。大手外資系企業の中には、ジェネリック部門を新設し、製造に乗り出している会社もある。ちなみに日本ジェネリック製薬協会の会員一覧名簿にその名はない。新薬開発をやめろと言っているわけではない。ジェネリック医薬品への取り組みを積極的に行うのも大手製薬会社の責務ではないのかと思う。

■美味しくない?ジェネリック医薬品
一部の製薬企業で、数年前から特許切れの自社製品を自社のジェネリックとして発売している会社がある。背に腹は代えられぬといったところだ。至極当然の成り行きだと思う。それまでに培った製造技術や品質管理力を如何なく発揮していることになる。

新薬メーカーのプライドがジェネリック医薬品開発に向かわせない土壌があると思えてならない。新薬との薬価差はものによるが1/5〜1/10となり、1)大幅な収入減となり魅力を感じない、2)新薬メーカーとしてのプライドが許さないの2点が考えられる。一攫千金を狙うには莫大なお金と時間を要するが、一発当てれば濡れ手に粟といった思いが強く、ジェネリックを作るくらいなら、新薬開発をとの思いが強いためではないか。

でも考えて欲しい。例えば武田薬品の例で考えてみたい。仮にジェネリック医薬品の薬価が1/10となった場合を想定、その製品名と特許期限切れの時期、世界での販売高(概算)をみると、タケブロン(2009年11月)2250億円、アクトス(2011年1月)3800億円、プロブレス(2012年6月)2200億円で、合計8250億円となる。

もしジェネリックに置き換えた場合、約825億円である。この数字が小さいか大きいかは個人によるが、中程度のヒット製品に相当する。ジェネリックメーカーとしてはこれほどおいしい話はない。特許切れを虎視眈々とうかがっていることだろう。

確かに、新薬メーカーが自社で行う場合、現在の製造設備、要員、管理費ではペイしないということが考えられる。ならば発想を変えて売り上げ予想レベルにそれらを変更すればいい。ジェネリックの子会社を作ってもいい。やってできないことではない。やろうと思うかどうかだけである。当然検討済みなはずだ。それでも実行しないのはどうしてであろうか。【了】

■参考情報
日本ジェネリック製薬協会HP http://www.jga.gr.jp/information/member.html#t

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