PJ: 大谷 憲史
自殺予防週間に寄せて=話そう、とにかく話そう、そこから何かが始まる
2009年09月15日 07:40 JST
【PJニュース 2009年9月15日】前回からのつづき。
9月10日は世界自殺予防デー。2007(平成19)年6月に閣議決定された「自殺総合対策大綱」において、毎年、9月10日からの11週間を自殺予防週間として設定し、国、地方公共団体が連携して、幅広い国民の参加による啓発活動を強力に推進することとされている。この自殺予防週間に合わせ、私の身に起きた事例を通し3回に分けて、自殺予防について考えてみた。
1996(平成8)年4月、上海日本人学校から帰国後、文部省(当時)の研究指定校の研究主任を任され、研究公開までの3年間多忙を極(きわ)めた。研究公開が終わった99(平成11)年4月22日、校長室でパニック障害を起こし、その後、うつ病になった。入退院を繰り返し、気分一新を図るため、01(平成13)年4月、転勤した。しかし、そこでも問題は起きた。学校に居場所をなくした私は、自殺を図った。県外の友人により命は救われたが、学校に復帰することなく、教員を辞めた。その後、公民館でパソコンを教えるボランティア活動を始めた。活動を続けていく中で、いつの間にか、前向きな考え方を持つようになった。
「学校ではなく、公民館で活動を始めたことが完治につながったのだろう」と主治医が話していた。
しかし、離婚して教員を辞め、何もかもなくしまった。皮肉にも生活環境が変わったことでうつ病は完治したということである。収入が激減したことで、また「自殺」という文字が頭を横切りそうにもなるが、何とか生きている。
自殺予防の講習会で、「自殺をしようとしている人のサインを見逃さないでください」という言葉を耳にする。確かに、自殺を考えている人は事前に何らかのサインを出している。私もそうであった。しかし、それをすべて見逃さないようにするのは、至難の業である。
私の場合、離婚とうつ病発症が同時期で、職場にも居場所をなくし、孤立していた。世間話をしたくても相手がいなかった。ため息をついて一人であった。もちろん、「私は自殺を考えているんですが・・・」と切り出して話を始める人はいない。しかし、日ごろから話ができる環境や人間関係があれば、そこから何かが始まるのではないだろうか。
恋人や友人、家族に話しにくいのであれば、地元の自殺予防の相談センターに電話をかけるのも良いだろう。訓練を受けたカウンセラーが親身になって話を聞いてくれる。個々人が置かれた立場は違い、私のように「多忙 → うつ病 → 自殺」という構図ばかりではないが、話をすることで自殺を思いとどまることともできる。すぐに話す相手がいなければ、私のようにインターネットに救いを求めることもできる。
言い古された言葉だが、生きていればいろいろなことがある。苦しい時、悲しい時、嫌になる時、いろいろな状況にあって、誰でも良いから、誰かに話すこと・伝えることが大切である。
私の命の恩人である大阪と福島の方も、私と同じうつ病患者であった。最近、連絡を取り合ってはいないが、がんばって生きていることであろう。
私が住む宮崎県は南国のイメージが強く、自殺など無縁のように思われがちだが、1997(平成9)年に年間の自殺者が300人を超え、98(平成10)年以降はおおむね300人台後半で推移している。07(平成19)年10月までの宮崎県内の人口10万人当たりの自殺者数「自殺死亡率」は29.1人で、秋田県に次ぎ、全国ワースト2であった。
そこで宮崎県では、07(平成19)年に東国原英夫知事を本部長とする「宮崎県自殺対策推進本部」を庁内に設置するとともに、翌08(平成20)年6月には、保健・福祉・医療・教育・労働等の団体や機関から構成される「宮崎県自殺対策推進協議会」が発足し、官民一体となった自殺予防対策に取り組んでいるところである。
もちろん、私の体験談で自殺者を減らすことはできないが、自殺を思いとどまる何らかのきっかけになれば幸いである。【了】
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