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PJ: 大谷 憲史

地方でも進むか記者クラブの解放
2009年09月30日 06:55 JST


地方ではどのくらい記者クラブの解放が進んでいるのだろうか(写真は宮崎県庁本館、撮影:大谷憲史、09年5月5日) 

【PJニュース 2009年9月30日】鳩山政権が公約の一つに掲げていたネットメディアやフリーランス記者への記者クラブの解放は政権初日の官邸での記者会見では実現できなかった。しかし、岡田克也外務大臣は、外務省での記者クラブの解放を宣言した。これにより、徐々にではあるが他省庁へ広がりを見せ、最終的には官邸記者クラブの解放につながっていくことを願いたい。さて、中央ではこのようにして記者クラブの解放が話題になっているが、地方ではどうなのだろうか。

私は2年前の2007(平成19)年6月、東国原英夫宮崎県知事の定例記者会見に参加する機会をいただいた。就任1年目の東国原知事は、血気盛んであった。東国原知事は、同年5月11日の定例記者会見から県政記者クラブ加盟社以外の報道機関も出席できるようにした。

東国原知事は,県政の取材活動を行う県政記者クラブと同クラブ主催の定例知事会見の在り方について、「宮崎県は生まれ変わらなければならない黎明(れいめい)期にあり,県政記者クラブも聖域ではない。宮崎モデルを全国に発信してほしい」と発言した。また、「国内の各行政機関などに設けられている記者クラブ制度は、憲政史上、日本の政治、国全体を支えた部分は否めない事実だと思う」と評価する一方で、「それが戦後60数年たって何も問題視されないのはいかがか」と疑問を投げ掛けた。

このような東国原知事の発言の背景には、記者会見における大手マスコミの記者との問答があった。

その中で東国原知事は、「あなた方記者は、私が県民のみなさんに対して話していることを伝えなければならないが、果たしてきちんと伝えているのか」と問題を提起した。それに対して大手マスコミ記者は「知事が話されたことがすべて記事になるわけではない。知事の話はこちらで編集して記事として伝えている」と応戦したが、これに知事が噛み付いた。

「県民に伝える必要があるのなら、私(知事)の言葉を一言一句すべて記事にしなさい。県民に伝える義務があるのであれば・・・」

このやりとりはテレビの全国ニュースでも取り上げられたが、「私は県民の代表として、みんなが知りたいことを取材し伝えようとしている。知事はそれを否定するのか」という、いかにも県政記者クラブ所属の記者らしい態度に、私は違和感を覚えた。

いったい、誰のための「定例記者会見」なのだろうか。

県政記者クラブは、宮崎県庁舎内の1室をワーキングスペースとして利用している。地元のテレビで報道される記者会見の場にもなっている。記者活動の便宜を図って県が貸している部屋で、光熱費等は県が負担している。県では事務事業の見直し作業を進めていて、県政記者クラブも対象にしていたこともあり、それまでの一連の流れで東国原知事は、「県政記者クラブをなくす」とまで発言していた。

そして、私は動いた。

当時、オーマイニュースの市民記者だった私は、編集部に対して定例記者会見に参加できるように働きかけをしていた。

同年6月のはじめ、記者会見の3日前に、「記者会見にオブザーバーとして参加できるようになった」と、オーマイニュース編集部のA氏より連絡が入った。私が市民記者であることからとA氏が同席することとなった。

記者会見当日は、とても緊張していた。いつも見慣れた県庁本館も違って見えた。記者会見30分前に、宮崎県総合政策本部秘書広報課の報道担当リーダーの方にあいさつをし、県政記者クラブの幹事社の担当記者から記者会見場での注意事項の説明を受けた。

報道担当リーダーのエスコートで、記者会見場である講堂に向かった。講堂正面のステージ前に知事席、対面に記者クラブ席、後方にはテレビカメラ。講堂の左袖には県職員の席があり、私たち加盟社以外のオブザーバー席は、講堂の右袖に用意されていた。

定例記者会見は、時間通りに始まった。私は記録を、A氏は写真をという分担で臨んだ。

当時宮崎県では裏金問題があり、東国原知事による裏金問題への謝罪から始まった。その後、今回の発表事項である宮崎県総合計画の説明が行われた。分厚い資料だったが、説明は5分程度で終わった。

そして場面は、県政記者クラブ加盟社による質問へと移った。

「1)裏金問題について」「2)参院選に対する知事の姿勢について」「3)企業誘致について」「4)知事のマニュフェストについて」「5)単年度予算消化に関して」「6)宮崎空港の安全性について」「7)東京六大学野球・早稲田大学の優勝について」「8)巨人キャンプについて」の8項目について質疑応答が行われた。なるほど、これでは一言一句すべてを県民に伝えるのは難しいと思った。

また、活字やテレビが伝える記者会見と、実際の記者会見場では、やはり、伝えられないもの、伝えにくいものがあるとも感じた。それは東国原知事の言葉の間合いであったり、記者との絶妙なやりとりであったりと感覚的なものである。

さらに、会場で見られた記者クラブ所属の記者たちの馴れ馴れしい態度も気になった。現場に足を運ばなければ分からないことが多かった。

それゆえに、記者会見は記者クラブだけではなく、広く解放したほうが良いのではないだろうか。

その後、期待していた東国原知事の県政記者クラブ改革の声は小さくなってしまった。残念なことではあるが、最近テレビで東国原知事は「私は中立、民主党政権を見守っていく」と発言しているが、残された任期の中で、ぜひとも中央で進められようとしている記者クラブの解放をきちんとした形で実現させてほしいものである。【了】

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