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PJ: 大谷 憲史

「十五夜さん」平和の塔の前で神楽披露=宮崎
2009年10月06日 07:00 JST


平和の塔前の広場で披露された神楽はとても神秘的であった(撮影:大谷憲史、10月3日) 

【PJニュース 2009年10月6日】10月3日は中秋の名月。子どものころ、母がつくるお月見だんごの手伝いをして、家族でお月見をしたことを覚えている。地区によっては綱引きをしたり、相撲をしたりするところもあり、古くからの行事として定着しているかと思いきや、最近、「中秋の名月」という言葉を聞いたことがない若者がいるという実態も明らかになっている。そのような中、私はちょっと趣の変わった中秋の名月を楽しんだ。

教員時代、宮崎県えびの市の分校に3年ほど勤務していた。戦後の開拓地ではあるが、地区の伝統行事として中秋の名月にちなんだ「十五夜まつり」が行われていた。

まつりの最大のイベントは「相撲」である。幼稚園児から大人まで、もちろん、先生も例外ではない。地区の人が仕組んだのかどうかは分からないが、「保護者VS担任の先生」が大きな取り組みとなっていた。「今年はどっちが勝つんだろう」とかたずをのんで土俵を見守る中、受け持ちの子どものお父さんと相撲を取った。

お父さんが負けても先生が負けても、子どもは嫌な思いをするだろうと思ったが、ガチンコで向かってくるお父さんを見て、私もガチンコで相撲を取った。3年間の成績は、2勝1敗であった。今でも良い思い出である。

宮崎県内では地区によって、綱引きをしたり、綱引きと相撲を一緒に行ったりするところもある。最近では、地域の活性化のためのイベントとしてカラオケ大会やお楽しみ抽選会などを行うところもある。

さて、夜景撮影が苦手な私は、今年こそきれいな十五夜さんと撮影しようと宮崎市の平和台公園に向かった。午後7時過ぎ、平和の塔前の広場に多くの人が集まっていた。話をお聞きすると、今からここで神楽が披露されるとのことであった。

中秋の名月にちなんだ「月に舞う」と題したイベントである。平和台公園内のギャラリーカフェの開店4周年を記念して企画し、九州民俗仮面美術館(宮崎県西都市、高見乾司館長)が協力し、京都市在住の女性舞踏家である渡守希(ともりのぞみ)さんを招き、現代舞踏と日本の伝統芸能・神楽との融合をテーマに「現代神楽」が披露された。

照明は用意された灯籠(とうろう)と平和の塔をライトアップしているライトと月明かりだけ。会場に訪れた100人を超える観客は、薄暗い中で舞う神楽に見入っていた。とても神秘的であった。たまにはこのような十五夜さんも良いものである。

月を観賞する行事は中国から伝えられ、日本では9世紀末ころから宮中で月見の宴が行われるようになった。日本ではかぐや姫の物語があり、また、はるか昔から農作の守護神として、世界的にあがめられてきた。

中秋の名月には今年の農作物の実りに感謝し、来年の豊作を祈るという日本の農耕文化に根ざした古くからの行事であるにも関わらず、最近の若者は中秋の名月を聞いたことがないという実態が明らかになっている。コニカミノルタホールディングス(東京)が、埼玉、千葉、東京、神奈川に住む成人男女にアンケートを実施した結果(有効回答516人)、20代の2割強が「聞いたことがない」、成人全体でも約1割が知らなかったとのことである。

都会では農業とは縁のない生活をしているからと考えがちだが、私も農業には直接かかわってはいない。日常生活の中で旧暦を使うことが少なくなり、また、地域とのかかわりが薄くなっているところに問題があるのではないだろうか。

中秋の名月自体が現在のライフスタイルに合わなくなっていることもあるだろうが、みんなで綱引きや相撲をとったり、または、中秋の名月に関するイベントに参加したりすることで、日本の古き良き行事を再発見、再評価してほしいものである。【了】

■関連情報
【YouTube動画】
○平和台公園の十五夜さん

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