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PJ: 大谷 憲史

本当に戦争の準備が始まっているのだろうか=宮崎
2009年11月22日 05:20 JST


学習会には10人が参加した(撮影:大谷憲史、11月21日) 

【PJニュース 2009年11月22日】宮崎市の市民プラザで21日、「第13回ふるさと歴史・研究会」(原爆と戦争・宮崎空襲展を成功させる会、代表:池田一・元宮崎大学学長)が行われた。同会では、「戦争体験を語り継ぐ三世代交流の集い」以外に、ふるさと宮崎の歴史や戦争について考える学習会を毎週土曜日に開催している。今回は「日米戦争と宮崎県」というテーマであった。

参加者は10人。大学生、大学院生、社会人、高齢者と様々な世代に混じって、アメリカ・ユタ州出身で宮崎市在住のトラヴィス・マーカムさん(39)も参加した。トラヴィスさんは、アメリカでネバダ州の核実験に関する活動を行い、3年前から宮崎で生活している。

当初20分ほど、広島に落とされた原子爆弾によって原爆症となった人々のドキュメンタリーを視聴した。

将来、社会科の教師を目指している大学院生から、今回のテーマである日米戦争についてそのあらましを紹介し、意見交換を行った。

そのなかでトラヴィスさんは、ネバダ州で行われた核実験のことについて触れた。「アメリカ政府は核実験による影響を、もっと早く地域住民に知らせるべきであった。今でも地中の放射線量がどうなっているのか心配している。原爆や核実験はアメリカだけではなく、全世界の問題になっている。人間として生きたい。私たちの気持ちを分かってほしい。今回、この学習会に参加してよかった」と語った。

今回は学習会ということで、トラヴィスさんの話を詳しく聞くことはできなかったが、機会を見つけてお話を伺いしたい。

この会で特に感じたことは、大学生などの若い世代が、しっかりした考えを持っていることであった。

「若者の間で、戦争を擁護する動きがある。それは宮崎でも同じである。田母神(俊雄)氏の考え方について勉強する会も行われている。先の時代の戦争において、『日本は悪い』というイメージが植え付けられ、それが若い世代への再教育へとつながっている。私たちに判断する材料は与えられていない。今の時代、右や左のイデオロギーに左右されない考え方が必要ではないだろうか」(女子大生)

「ネバダ州の核実験のことについては初めて知った。私はシンプルに生きていきたい。人が死ぬような戦争をしなければ良い。良いことは良い、悪いことは悪い。悪いことさえしなければ、戦争は起きないと考える」(女子大生)

学習会の主催者から、「目の前で行われている戦争の準備をどう見るか」という発言があった。その具体例として、失業と貧困から先の戦争が引き起こされたとし、昨年のアメリカ発の世界的な金融不安が戦争につながっていくのではないかとしている。また、米軍再編による宮崎県新富(しんとみ)町の航空自衛隊新田原(にゅうたばる)基地の大掛かりな改修工事が、戦争準備につながっていくのではないかと考えている。

米軍再編に伴う日米共同訓練が、2007年9月に始まった。これまでに4回の共同訓練が行われ、共同訓練の移転先となった全国6カ所の基地の中では訓練の回数は多い。

しかし、現在の新田原基地は手狭で、第4回日米共同訓練に参加した米兵80人のうち、基地内に泊まれない60人が宮崎市内の民間ホテルを使ったことが大きな問題となった。

そこで新田原基地では、6月から大規模な改修工事が始まった。本年度は、既存の滑走路の南側に並行して、長さ2700m、幅45mの仮滑走路を建設する。また、来年度以降、200人の米兵が利用可能な4階建て宿舎の建設、大型輸送機が離着陸できるようにするための滑走路等のかさ上げ工事などが行われ、2011年度完成を目指している。

果たしてこれらの基地整備が、地元が懸念する「新田原の米軍基地化」につながっていくのか、今後の状況を慎重にみていかなければ分からない。確かに、新田原基地と福岡県にある築城基地は、有事の際に米軍が普天間飛行場の補完として展開することになっているが、政権交代によって、今、沖縄が大きく揺れている。今後、どのように動いていくのかを見守っていかなければならない。

私たちは、直接、戦争を経験していない。「戦争は悪いことである。戦争をしてはいけない」ということは、子どものころから祖父や父などから聞かされてきた。それは、あの悲惨な戦争を子どもたちに経験させてはならないという、親の配慮からであろう。

しかし、「日本、アメリカ、中国には戦争をしたがっている人々がいる」「戦争の準備が行われている」「戦争に関するマスコミ操作が行われている」という情報を、学習会の主催者がそのまま流すのはどうだろうか。

確かに、戦争だけではなく社会一般において、マスコミが情報を操作していることもあるだろう。この時代、マスコミがそのまま流した情報を100パーセント真に受けている人間は少ないだろうが、情報のひとつ一つを何の検証作業もなしに、若い世代に伝えていくのはどうなのだろうか。

この会が主催している「戦争体験を語り継ぐ三世代交流の集い」は、戦争体験者が少なくなっていく中で、非常に大切な活動である。戦争体験者から話をお聞きすることで、私たちが今後どう行動すれば良いのかを指し示してくれる。

しかし、64年前と現在の社会情勢は大きく変わってきている。「本当に日本は中国に対して悪いことをしたのか」「日本は悪い国なのか」と考えている若者もいる。そこには、世代間の考えの違いだけで済まされない状況も存在するのである。日本人としてのアイデンティティーが問われているのである。

先に紹介した「今の時代、右や左のイデオロギーに左右されない考え方が必要ではないだろうか」という女子大学生の言葉が、そのヒントではないだろうか。

私に言わせれば、人が死なない「戦争」は、すでに始まっている。テレビ、ラジオ、新聞だけではなく、インターネット上で様々な情報が流されている。有益な情報もデマも噂も、同じルートに乗ってやってくる。情報を正しく判断しなければ、大勢に流されてしまい、それこそ戦争に向かってまっしぐらということになるかもしれない。

YouTube動画:日米戦争と宮崎県

【了】

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