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PJ: 大谷 憲史

【基金訓練問題】パソコン講座になるといなくなる受講生
2010年03月13日 10:54 JST


「誓約書」の裏面には中央職業能力開発協会の12の認定基準が示されているが抵触している可能性が非常に高い(キャプチャ画像 作成:大谷憲史) 

【PJニュース 2010年3月13日】基金訓練はパソコン教室ではない=宮崎からのつづき。国が行っている雇用保険を受給できない人を対象とした「緊急人材育成・就職支援基金による職業訓練(以下、基金訓練)」において、その職業訓練が適切に行われていないのではないかと思われる事例が発生した。前回、訓練内容が違うことと、訓練用のノートパソコンの不備について紹介した。これだけでも十分に誓約書に違反しているのだが、他にも問題になることは起きていた。

■ハローワークに出かけます
受講中、受講生はハローワークに呼び出されて出かけることがある。また、訓練の中に「就職支援」という時間が用意され、ハローワークのインターネットサービスで検索をしたり、ハローワークに出かけたりすることもある。その場合は、学校側に届け出れば、出席扱いでハローワークに出かけることができるようになっていた。

パソコンの講座が進むにつれて、ある現象が見られた。他の講座にはきちんと出席するのだが、パソコンの講座になると、必ずいなくなる受講生Aさんがいた。他の受講生にたずねると、Aさんは午前中の講座には出席していたようだが、午後からはハローワークに出かけたのか、どこに出かけたのか分からないと言う。

IT活用科にあって、このAさんはまったくの初心者であった。学校の担当者にたずねると、「Aさんについては関わらなくていいです」と言う。変な話である。初心者レベルの受講生が多い中、他の受講生さんはパソコンが苦手でも、なんとか技術を取得しようとがんばっている。教える私も、なんとかしてあげたいと、講座にも力が入るのだが、学校側の対応がどうも気になっていた。

ある日、午後の3時間目のパソコン講座を欠席していたAさんが、なぜか4時間目の講座に出席した。教室に入るなり、他の受講生に対して、「今日、あのお店に出かけたけど休みだったよ。だから他の店へ行った・・・」などと話していた。ハローワークに出かけることなく、講座をさぼっていたようである。

このことにキレてしまった私は、担当者に対して、「パソコン講座を受講しないであれば、Aさんに辞めてもらいたい」と伝えたが、そういうわけにはいかないというような歯切れの悪い回答しかかえってこなかった。

なぜか。出席率である。

私も過去に、通常の職業訓練講座を受け持ったことがあるので少しは分かるのだが、出席率が8割以上を超えないと職業訓練を修了したことにはならず、また、修了した受講生の割合によって国からの補助金の支払い状況も変わってくる。

当然、一人でも多くの受講生が職業訓練を修了するのが望ましいのだが、受講生がパソコン講座を意図してサボっても、学校側が出席扱いにしているのは、問題である。

■誓約書違反
認定様式第2号は「誓約書」である。

誓約内容として、「認定を受けた訓練コースについて、中央職業能力開発協会(以下、中央協会)の認定基準に定められた内容を遵守するとともに、欠格要件に該当しないこと」というのがあり、誓約書の裏面に、12項の認定基準が書かれている。その認定基準に抵触しているのである。

(1) 訓練期間中、認定された訓練を確実に実施すること。

前回取り上げた訓練内容の相違とも関連があるのだが、中央協会に対して「緊急人材育成支援事業に係る職業訓練認定申請書」を提出した際の訓練カリキュラムをすべての受講生が受けなければならないのだが、訓練期間中に「訓練カリキュラムが変更されている」「確実に受講していない受講生がいる」ことは、明らかに誓約書違反である。

(8) 受講生、企業実習先等からのクレーム等に対して誠意をもって適正に対応すること。

訓練カリキュラムが急遽変更されたことで、「講座の進み具合が早い」「訓練が窮屈で、これではまるでMOS試験の受験対策になっている」「どうして訓練用のノートパソコンにセキュリティソフトが入っていないのか」などと、受講生さんから多くの不満が聞かれた。

講座に関することは私にも問題があるのだが、訓練カリキュラムが変更されたことで、時間数が足りなくなる恐れが出てきた。そのために講座の進め方が早くなってしまった。受講生に対して申し訳ないことをしたと思っているが、これらの受講生からの要望やクレーム等に対して、学校側は誠意を持って適正に対応したとは言えない。

また、学校の担当者は、「当校がこのような職業訓練の講座を行うのは初めてなので、講座の運画に関しては実験的なところもあります。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」と伝えていたが、受講生からは「先生、私たちは学校の実験台ですか」という言葉が聞かれた。まったくもって誠意のない言葉である。【つづく】

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