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PJ: 大谷 憲史

【基金訓練問題】やはり起きてしまいましたか
2010年03月15日 08:11 JST


たかがパソコンされどパソコン、職場できちんと使いこなせるように訓練しなければならない(宮崎市内の公民館でのパソコン講座 07年10月 撮影:大谷憲史) 

【PJニュース 2010年3月15日】国が行っている雇用保険を受給できない人を対象とした「緊急人材育成・就職支援基金による職業訓練(以下、基金訓練)」において、その職業訓練が適切に行われていないのではないかと思われる事例が発生した。3月10日、ハローワーク宮崎、雇用・能力開発機構宮崎センター、宮崎労働局職業安定部へ出かけ、今回の件について説明した。

今回、内部告発に近い形で、この記事で紹介している教育訓練機関は、宮崎市に本社をおく株式会社宮崎コミュニティカレッジ(川越宏樹代表取締役)である。専門学校を形成する学校法人宮崎総合学院(川越宏樹理事長)のグループ企業の一つで、厚生労働省より委託を受けた「みやざき若者サポートステーション」、宮崎市からの委託を受けた「求人開拓人材マッチング事業」「ジャイアンツ・メソッド 宮崎ベースボールスクール」などを運営している。

◇ハローワーク宮崎
午前10時30分すぎ、受付で説明すると求職者と同じように番号札が渡されて待つこと10分。この一連の記事で紹介したことを応対した担当者に説明した。失笑する場面も見受けられたが、開口一番。

「危惧していたことが、やはり起きてしまいましたか・・・」

担当者が危惧していたことの一つとして、今回の基金訓練に関する教育訓練機関の認定要件の甘さを挙げた。国の緊急人材育成支援事業の一つとして、雇用保険を受給できない人でハローワークの認定を受けた人を対象に実施している職業訓練だが、緊急性を重視して多くの訓練生を受け入れるために、教育訓練機関の認定要件が甘くなってしまったとのことである。

私が講師をしていた株式会社宮崎コミュニティカレッジでも、講座が増えたために別会場を確保しなければならなくなった。講座が増えると、当然、講師の確保も難しくなる。グループ企業の別の専門学校から、4月から始まる基金訓練の講師として来てほしいというオファーを受けている。

コミュニティカレッジのときもそうであったが、「私のような者でも良いのか」と打診していたのだが、「パソコン指導ができれば良いです」とのことであったが、これも認定基準に違反しているのである。

中央職業能力開発協会(以下、中央協会)が出している「基金訓練の認定基準」によると、「講師は職業訓練指導員免許を有する者、または、職業能力開発促進法第30条の2第2項の規定に該当する者等であり、教育訓練の適切な指導が可能であると認められる者であること」となっている。私が適切な指導ができるかどうかを確認もせずに、即採用したことは、やはり、講師の数が足りないためだろう。

また、担当者は、「職業訓練ではなく、単なる資格習得のための講座になるのではないかと危惧していた」ことも話していた。そして、コミュニティカレッジが行っている基金訓練は、職業訓練ではないときっぱりと答えた。

しかし、ハローワークは、教育訓練機関に指導できる立場ではなく、各教育訓練機関からの基金訓練の申請書類は、雇用・能力開発機構宮崎センターを経由して、中央協会に送られるとのことである。この基金訓練に関しては、宮崎労働局が指導監督できる立場にあるというようなことを担当者からお聞きした。

◇雇用・能力開発機構宮崎センター
午後1時すぎ、雇用・能力開発機構宮崎センターに足を運んだが、あいにく担当者が不在だったため、対応された方に概略を伝え、後日、連絡が入るようにしていただいた。

◇宮崎労働局職業安定部
午後4時すぎ、宮崎労働局職業安定部にも足を運んだが、こちらも担当者が不在で、対応してくださった方に概略を説明した。私の説明に対して、ハローワークと同様に、担当者が失笑する場面が見られた。やはり職業訓練としてはいかがなものか、といったところだろう。

現在もコミュニティカレッジでは、何の改善策もとられないままに新たな基金訓練が行われているので、早急に改善されるようにしてほしいと伝えたが、このことはきちんと担当者に伝えて対応するということになった。

◇受講生一人当たり5〜10万円
ハローワーク宮崎で、担当者に受講生一人当たりの補助金の額をたずねた。

教育訓練機関には、一人当たり5〜10万円の補助金が支払われるとのことである。20人が受講すれば、最高で200万円の補助金が学校に入る。講師の時給は2500円で、前回のIT活用科の総訓練時間数は328時間。各講師に支払われる報酬は、総額で82万円。差し引き110万円あまりが学校に入る計算になるが、これが職業訓練ではなく、単なるパソコン教室と同じMOS試験対策のために国が支払ったとなると、補助金泥棒と言われても仕方がないのではないだろうか。

110万円あまりが入るのであれば、訓練に使用するノートパソコンに、セキュリティソフトを導入して、学習環境を整備することぐらいはできるのではないだろうか。

宮崎労働局職業安定部で応対してくださった方は、具体的なカネの流れは分からないとしながらも、きちんとした職業訓練が行われていなかったのであれば、それはそれで問題であるとの認識を示していた。

◇全国各地の状況はどうなのか
当然、全国各地で基金訓練は行われている。宮崎労働局職業安定部でお聞きしたのだが、私が説明したような基金訓練の現場に関する情報が入りにくいとのこと。

しかし、このままで良いわけがない。一番の被害者は、基金訓練を受けている受講生である。国からの補助金を有効に活用し、雇用確保につながるように訓練を行わなければならない。

これは、国会でも取り上げられるべき問題ではないかと考える。今後も取材を続けていきたい。【了】

■関連情報
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