PJ: 大谷 憲史
「P2P観測システム」があなたを見ています
2010年04月11日 07:11 JST

livedoor掲示板したらばでP2Pに関する情報交換が行われている。画面は「24 twenty four season7」に関するスレッド(キャプチャ画像 作成:大谷憲史) 
【PJニュース 2010年4月11日】ファイル共有ソフト「Share(シェア)」を使って、著作権者に無断で映画『アバター』をファイル共有ネットワーク上にアップロードしていたとして、京都府警本部ハイテク犯罪対策室と城陽署は3月31日、静岡県裾野市在住の62歳の男を著作権法違反で逮捕した。今回の事件で威力を発揮したのは、「P2P観測システム」である。もはや、P2P上でも悪いことはできないということである。
この62歳の男は、2009(平成21)年12月20日午後4時頃、自宅のパソコンでShareを起動させ、他のファイル共有ネットワークに違法アップロードされた映画『アバター』を再アップロードした。今年3月22日午後11時頃には、映画『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』をアップロードし、不特定多数がダウンロードできる状態にし、20世紀フォックスフィルムコーポレーションが持つ著作権を侵害した。
映画『アバター』に関しては、3月27日付け記事「わいせつ画像だけではなく映画『アバター』も!」で、長崎市の中学校長が所有していたパソコンからファイル名の一覧が流出した騒動の際、この映画『アバター』のファイル名も確認されていた。
しかし、気になるのは、その『アバター』のファイル名である。私が確認したところでは、『【映画・洋画】2009 アバターAVATAR(日本語字幕)音声修正版(Enc By K).avi』とある。今回逮捕された男性は、すでに違法にアップロードされた『アバター』を再アップロードしたとされている。つまり、一次放流者ではなく、二次放流者であるということになる。
ファイル共有ネットワークに違法にアップロードされた映画に、ご丁寧に「日本語字幕」を付けている人間が存在しているということである。
調べたところ、実際にlivedoorの掲示板・したらばには、「P2Pデータ 本物情報・偽物情報(ドラマ・アニメ)」というスレッドが存在する。
そこには、海外人気ドラマの『24』、『FRINGE』などのスレッドがあり、「字幕よろしくお願いします。」「字幕ありは流れてないの?」などの書き込みが見受けられる。また、P2Pデータが本物かどうかについて、「Cにて最終回、本物確認!!!」などの書き込みも。
また、『【映画・洋画】2009 アバターAVATAR(日本語字幕)音声修正版(Enc By K).avi』にある「Enc By K」の文字が気になっていた。この掲示板で、『【海外ドラマ】24 Twenty Four Season 7 第20話 03am-04am(日本語字幕 By Grove)Enc By K』として確認できた。「日本語字幕 By Grove」がGrove という人物によって日本語字幕が作られたのであれば、「Kと言う人物によってエンコードされた」ということだろうか。
P2Pデータの字幕作成師やエンコード作成師が存在するとなると、相当大掛かりに違法データが流通していることになる。由々しき状況である。
違法アップロードはもちろん、犯罪行為である。今年1月1日に改正された「著作権法」では、P2P上のファイルをダウンロードする行為も違法であると明記されているものの、罰則規定はない。ただし、著作権者によっては、違法ダウンロード者も訴訟の対象になる可能性はある。
不特定多数が集まる電子掲示板で、「字幕付きのドラマファイルはないのか」とたずねることは、暗に違法アップロードを助長することにつながりかねない。このようなスレッド開設を認めている運営者にも、厳しい対応が求められるのではないだろうか。
さて、今回の捜査で威力を発揮したのは、警察庁が今年1月から運用を開始した「P2P観測システム」である。このシステムは、ファイル共有ネットワークを巡回してファイル情報を収集し、分析・検索を行うもので、P2P利用者が違法データを故意に流す「第一次放流者」かどうかをはじめ、情報を流した日時やIPアドレスをほぼ特定できる機能を持っている。今回、P2P観測システムの情報を基に、全国で初めて逮捕したと事例となった。
P2P利用者にとって、この「P2P観測システム」は単なる観測ではなく、「監視システム」であると思ったほうがよいだろう。また、電子掲示板を利用してP2P情報を交換している状況も、不特定多数(警察関係者も含めて)が見ているのである。
私が主宰しているパソコン教室で、たまに「P2Pでのデータのダウンロードの方法を教えて欲しい」とたずねる人がいる。何のデータが欲しいかとたずねると、「子どものために最新の曲が欲しい」と。当然、厳しい態度で接している。世間一般では、「パソコンで自由にデータがもらえる」という誤った考え方を持っている人が、非常に多い。特に、学校で「著作権教育」を受けなかった中高年層に目立つ。今回逮捕されたのも、62歳である。
違法ダウンロード者には罰則規定がない著作権法にも問題があるが、教育・啓発活動を通じて著作権意識を根付かせていくことも大切である。
あなたのその行為、P2P観測システムが見ています・・・【了】
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