PJ: 田中 大也
「コンピューター監視」規定により、通信の強度の監視と犯罪者「認定」が行われる!?
2011年02月18日 09:09 JST
【PJニュース 2011年2月18日】前回取り上げた「コンピュータープログラム規制法案」だが、「ウィルス」関連罪の危険性と同時に、「コンピューター規制法案」であるとの強い批判も受けることになっている。これは、同種の法律が、共謀罪とセットで提出された時からずっと問題視されていた部分である。
■「保全要請」によって通信の秘密が筒抜けに!?
この法案では、捜査の際に必要となった場合、捜査機関(つまりは警察ということになるだろう)が、ネット事業者、プロバイダーに対して、業務上記録しているパソコンその他の送信元、受信元、通信日時等々の通信記録のうち、「捜査に必要なもの」に関して、一定期間(以前出された法案では九十日以内)情報を消去しないように「保全要請」ができるという点が存在している。
つまり、「命令」よりも強制力としては一段低いものの、捜査当局がPCや携帯を通じてのメールのやり取りなど、通信の内容を掌握することもできるという枠組みが作られることになる。元々、データが蓄積され、情報のやり取り等々に関して個人特定がしやすいネットの特性を考慮すると、個人ないしは企業間の通信の秘密は、ほとんど守られ得ないのではないかとも考えられる。
憲法にも「通信の秘密」については明記されている規定ではあるのだが、「裏」を取りやすいネットでの情報で「保全」と「調査」を行われたとすれば、ほとんど、手紙の内容を検閲官が検閲しているのと同じような状況が作り出されてしまう危険性が高い。
■ネット上という「特性」が、「犯罪者」を作る!?
この点だけでも、憲法上禁止されているはずの「検閲国家」が生みだされかねない危険な部分があると言えるのだが、まずい点は他にもある。
こうした監視問題の際には、しばしば、「たとえ規制されても悪いことをしていなければ問題ないはず」という風に考えてしまいがちにもなるが、今回の、ネット上の通信履歴の保全、つまり監視は、普通に暮らしているだけの一般市民を、「犯罪者」にしてしまいかねない側面すらも有している。
しばしばインターネット上の空間は、好き勝手な言論が許される、無法地帯であるような印象で語られることがあるが、実際には、街頭や企業、学校や家庭といった場での言葉のやり取りよりも、ずっと慎重な態度が必要になってくる。たとえ、匿名掲示板や動画サイトに書き込む、あるいはメールを通じて送信したとなれば、誰が、どんなことを言ったのかは割り出され、しかも保存可能な情報として記録されてしまう。
普通の生活の中では、ごく当たり前に交わされるようなレベルの冗談や軽口であっても、まるで危険な武装集団の犯行予告と「同じ」ように解釈され、法的に処罰されることになる。実際に、「いたずら」とすら呼ぶのが難しい、冗談や軽口レベルの書き込みでも、「犯行予告」と見なされ、書き込んだ人間が逮捕されるというような事態も、頻繁に報じられている。
これは、不当な弾圧ではなく、脅迫や業務妨害といった法律を正当に行使した結果に過ぎない。だが、誰がどのような書き込みをしたかが把握でき、記録されるネット上や電子メール上では、街頭や家庭での会話と同じように書き込んでいては、思わぬところで「犯罪者」にされてしまう部分が少なくない。
今回の「保全要請」は、そんなネット上や電子メールの「危険性」を一層高めることになるだろう。IT技術の普及が進み、かつてないほど多くの年齢層が、ネットでの情報のやり取りを行っている現状にあって、通常の社会的な「常識」よりもずっと慎重な言葉選びをしなければ、法的処罰の対象になりかねないネット社会の特性は、既存法の枠内ではあっても、事実上犯罪者を「作り出す」結果を生み出しかねないという危険性を有していると言えるのだ。【了】
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