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PJ: 田中 大也

児童ポルノ犯罪はなぜ「増える」のか(上) 「過去最悪」は統計上ほとんど無意味!?
2011年02月25日 07:06 JST

【PJニュース 2011年2月25日】先日、警察庁の統計によって明らかになったところによると、平成二十二年の児童ポルノ犯罪(製造、提供、公然陳列等)の検挙総数は、1342件となった。これは、二十一年よりも407件多い数字であり、過去最多の件数となった。この問題を、時事通信なども詳しく報じた。

多くのメディアはこの結果を受けて、「過去最悪」としている。

しかし、いわゆる淫行事案もほぼ横ばいに近い状態であり、児童買春事案に至っては、平成十三年以降はじめて千件未満(954件)に抑制されるなど、「児童に対する人権侵害」という枠組みで考えても、件数の急増や、事態の悪化はさほど見られないという現実がある。では何故、「児童ポルノ犯罪」だけが、「急増」するのだろうか。

■「いつ」の画像かが問われないため、「元児童」も統計に含まれ「総数」が加速度的に増加

考えられる要因は様々だが、第一に押さえなければならない「児童ポルノ」の特性として、「総数の半永久的な増加」を挙げることができる。

日本における児童ポルノ禁止法の場合、問われるのは被写体が十八歳未満かどうか、あるいは十八歳未満に見えるかどうかのみで、その画像が「いつ」製造されたものかは問われない。何年前、何十年前に撮影された画像であり、被写体が既に成人していると明らかになっているものであっても、児童ポルノとして扱われることになる。

つまり、「児童ポルノ犯罪」の、潜在的な総数となる「認定」された画像の種類は、決して減ることなく、半永久的に増え続けるという結果となるのだ。

淫行条例や児童買春禁止法に当てはめてみると、かつて児童であったというだけで、今は成人している「元児童」との性的関係も法的処罰対象にするようなもので、年を経れば経るほど、「認定」された児童ポルノの数は増え続け、件数は増加傾向を示しやすくなるということになる。

現在の児童ポルノ犯罪の主流は、インターネットを介したものになりつつあり、「加害者」の側が、画像や映像の被写体となっている人の年齢について、把握できる材料が得られないとなれば、なおさら件数の増加傾向は強まっていくだろう。

「児童に対する人権侵害」の実情とは関わりなく、半永久的に増加し続け、どれほど対策がうまくいっても、「認定」されている「児童ポルノ」の総数が減少することはなく、統計上の「脅威」が存在してしまうのは、「児童ポルノ禁止法」が有する、独自的かつ根本的な問題点だと指摘することができるだろう。

それどころか、直接的な児童の被害とも言える「製造」事案の抑え込みに成功すればするほど、児童ポルノ犯罪が「児童に対する人権侵害」とは言えない事例で占められることになってしまうのだから、その不条理性は深刻なものがあると言える。

■児童ポルノ犯罪に関しては、過去との経年的比較は統計上ほとんど「無意味」

「認定」される画像や映像の数が増え続け、年を経るごとに潜在的な総数が増加していく傾向にある以上、過去の件数と現在の件数を比較して、状況の動向を分析することは有意義とは言えない。

具体的には、「直接的に十八歳未満の男女と接触し撮影した」という「製造罪」を除いては、年ごとの比較によっての判断は、統計的データとして、有効とは言えないと言えるだろう。

撮影されてから年月が経ち、被写体が十八歳になった画像や映像に関しては、児童ポルノから除外するなどの、取り締まりサイドの特別な意向、扱いの変化が起こらない限り、今後も、「認定」された児童ポルノの総数は増え続け、結果、違反件数も増加し、ネットユーザーは、年ごとに増す、犯罪者になるかも知れない脅威と向き合うことを余儀なくされるだろう。

「既に被写体が十八歳未満ではないと判明した」画像や映像を法的にどう扱うについては、様々な方向性が考えられるが、いずれにせよ、「児童ポルノ犯罪」に限っては、児童買春事案や淫行事案とは異なり、過去や未来とは統計的に比較できない特性を有している。潜在的な総数が増加している以上、件数も増加するのは必然的な話でしかなく、この事だけをもって、「過去最悪」と断じることはできないということが言えるのだ。【つづく】

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