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PJ: 田中 大也

児童ポルノ犯罪はなぜ「増える」のか(中) 「重点化」で恒常的に「潜在数」は増していく
2011年02月28日 07:30 JST

【PJニュース 2011年2月28日】前回は、児童ポルノ犯罪の件数が増える主要な原因の一つに、年を経るごとに、半永久的に増え続ける「認定」された「児童ポルノの総数」という特性を挙げたが、他にも加速度的に件数の増加を招く要因はいくつもある。例えば、「警察による摘発の重点化」だ。

■「重点化」によって、恒常的に件数増加の基盤が生まれる「児童ポルノ」事案の特性

警察は、世間で行われている犯罪・違法行為の全てをフォローしているわけではない。そのため、窃盗や違法薬物など、何かを対象にしての摘発が重点的に行われた場合、統計上の犯罪件数は増えていくことになる。

これが、「摘発の重点化によって起こる犯罪認知件数の増加」であり、ほとんど全ての犯罪行為に当てはまる法則でもある。検挙件数の増加は、 事態が悪化していることを証明しているとは限らず、むしろ摘発の進展が行われたということで、状況の好転を示していることも少なくないのだ。件数の増加だけを見て、「最悪」と断ずるのは、重点化現象の観点からも短絡的だと言えるかも知れない。

さて、「重点化」によって、一時的に犯罪の検挙件数が増大するのは、ほとんどの犯罪行為に共通して見られる現象だが、「児童ポルノ」事案に関しては、一時的にとどまらない特性が存在する。と、言うのも、熱心に摘発を進めることは、新たに「児童ポルノ」を「認定」することでもあるため、結果として、重点化によって増加した「児童ポルノのリスト」が、そのまま後に引き継がれることになるからだ。

潜在的な総数が増加したままであれば、被写体を直接撮影しているわけでもないネットユーザーたちが、それとは知らずに画像や映像を提供するようなことも増えていく。そうなれば、元々常に数が増え続ける「児童ポルノリスト」の特性もあり、件数は増加の一途を辿ることになる。

そして、児童ポルノ禁止法には、強硬的な「認定」と摘発を可能にする規定が存在している。

■「鑑定」と広範かつ曖昧な「3号ポルノ」の定義が、無数の「児童ポルノ」を「創作」する

現行の児童ポルノ禁止法には、性的な行為を撮影した画像や映像を取り締まる以外に、「衣服の全部または一部を脱いだ状態で性欲を喚起させる」ものであれば児童ポルノに「認定」することができる「3号ポルノ」と呼ばれる条文が存在している。

つまり、裸ですらない下着や水着、あるいは薄い服を着ている状態の写真等であってもアウトになりかねないのだ。また、「性欲を喚起させる」かどうかを判断するのは取り締まりにあたる当局側であるため、それこそ十八歳未満の男女を被写体とした写真や映像であれば、「クロと言えばクロ」が完全に成立してしまい得る状態にあると言える。

更に、警察サイドが、被写体に関して客観的に年齢特定ができなかった場合は、写真の見た目から「鑑定」を行うことで、その写真などを児童ポルノと「見なす」ことができるという規定すら存在している。つまり、十八歳未満という証拠すら「必要ない」のだ。

そして、「見た目」で有罪と言われた以上、被告側は反証すらできない状況に追い込まれるわけだが、人権上の観点から、公開すらなされていない児童ポルノという案件の特性上、当局側はより危険な手を用いることすら可能という現実がある。

例えば、ある画像の被写体について、警察が、実は二十歳だと知っていたとしても、その情報を秘匿し、「鑑定」の結果十六、七歳ということにして、被告人を有罪と認定することも「可能」だ。被告側には年齢を知る材料がそもそもないのだから、捏造が表に出てくることはまず考え辛いだろう。

「極めて広範囲の画像をクロにできる」基準と、「客観的証拠すら必要とせずに被告人を有罪にできる」規定。

この二つが、重点的な摘発の際に、いかに「便利」なものかは想像に難くない。取り締まりサイドの意向で、いかようにも件数を「法的には正当」に増加させることができるはずだ。

しかし、「犯罪の重点化」による増加傾向が受け継がれる特性と、「いくらでも児童ポルノを作り出せる」規定が存在している以上、その一年の児童ポルノ犯罪件数に関しても、有意性のあるものではなく、「今年は●●件事件が発生した」とする当局側の「主張」以外の意味を見出すのはかなり難しい現実があると言わざるを得ない。

法律そのものの特殊性と、恣意的に犯罪と認定することが可能ないくつもの規定の存在を考慮し、改めていかない限りは、統計上の「脅威」が拡大し続ける一方、問題解決に向けた実情の把握すら困難ないびつな状況が延々と続いてしまうことにもなりかねないだろう。【つづく】

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