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PJ: 田中 大也

児童ポルノ犯罪はなぜ「増える」のか(下) 「男子」と「小学生以下」を過剰に増加させ得る「基準」の存在
2011年03月01日 08:13 JST

【PJニュース 2011年3月1日】現在の判定基準では、半永久的に「認定」される児童ポルノが増加していく、そして、児童ポルノ禁止法には、重点化の効果が「永続」してしまうという特徴があり、「鑑定」や広範かつ曖昧な定義が、統計的な件数の増加に大きく「貢献」し得るという特性は、前回までに解説した通りだ。

これらの要素によって、児童ポルノ犯罪は、他の犯罪とは全く違う形で、統計上「増加」していると言えるわけだが、今回示されたデータから、他の「増加の要因」を見て取ることもできる。それは、「男子」、「小学生以下」という特性と、児童ポルノ禁止法の「基準」が絡み合って生まれた数値ではないかと見て取ることもできるのだ。

■女子の児童ポルノよりも男子の「児童ポルノ」の方が、潜在的には多い!?

まずは、「男子」が被写体となった「児童ポルノ」の増加が、全体数の急増に影響している。時事通信の報道によると、平成二十二年、「児童ポルノ被害」に遭ったとされる男児の総数は72人と、前年の3.6倍に達したとされている。今まであまり顧みられてこなかった男子の「児童ポルノ被害」に、積極的に取り組み始めたという姿勢が見える統計結果で、件数が伸びるのは当然とも言えるのだが、この点に関しては、単なる重点化にとどまらない要素が絡んでいる。

現行の「児童ポルノ」の基準では、十八歳未満の男女の性行為はもちろんのこと、裸や下着、あるいはそれ以上に穏当な格好であったとしても「衣服の一部を脱いで」いれば「認定」されてしまい得るのが現状だ。そして、児童ポルノ禁止法には、男女による基準の区別は明記されていない。故に、女性より男性の画像や映像の方が、潜在的にはずっと「児童ポルノ」とされてしまう危険性が高いということになる。

例えば、男子が海水パンツ姿だったり、上半身裸、あるいは極めて薄着だったりという普通の画像だったとしても、法律上は、女子が胸部を露出していたりする画像と「同じ」扱いが「可能」であるため、穏当な画像が児童ポルノ扱いされてしまうリスクはむしろ男子の画像の方が高くなってしまうのだ。

だからこそ、国会での改正論議の際に、ジャニーズjrの写真集は児童ポルノになり得るのではというような問題提起もなされたのだが、現行法の基準が存在する以上、男子の画像を当局が「本気」で摘発にあたったら、男子が被写体になったものが「児童ポルノ」の大多数を占めることにもなりかねない。

問題性のない画像が違法とされ、脅威が「創作」されるという危険も十分にあるわけで、現行法基準上の「男子」児童ポルノ摘発数の増加は、深刻さの拡大とは直結できない部分が極めて大きいと言える。

■「基準」によって、「小学生以下」の児童の画像が、過剰に「認定」される危険性が

また、上記の時事通信の記事の中では、「児童ポルノ」の「被害者」の内訳として、「小学生以下」が、前年度よりも大幅に増加し、全体の20.4%を占めたとも報じられており、「小学生以下」の割合が増えていることが、急増の原因の一つとして考えられる。ただ、この点に関しても、事態の深刻化や重点化以前の問題として、「基準」が絡んでいる余地は大きい。

ほぼ全ての被害者が中学生以上という状況が続いている「児童買春」とは違い、何故小学生以下の児童の占める割合が増加する余地があるのかという部分には、児童ポルノ禁止法独特の「ライン」が絡んでいるとも考えられるのだ。

児童ポルノ禁止法には、年齢の下限が設定されていない。乳幼児の画像でも、アウトと判断されれば児童ポルノになる。

そして、前述したように日本における「児童ポルノ」は、性的行為だけではなく、裸や半裸、下着姿や水着姿までもが対象になり得る基準となっている。また、小さな子供は裸だったり、半裸だったり、下着姿だったり、薄着だったりという格好もごく当り前である。

つまり、普通に撮影すれば、「児童ポルノ」に認定され得る画像や映像が出来上がってしまう危険性が非常に高くなるということにもなる。

そして、実際に認定する取り締まりサイドとしては、「何でも児童ポルノにしてしまえる」状況があるわけだから、摘発数の増加はこれ以上ないほど簡単ということにもなってくる。

その気になれば、一般向けのサイトやブログに網をかけて、摘発件数を激増させた上で、全体の八割以上を「小学生以下」にすることだって可能かも知れない。しかも、そうやって「認定」した画像や映像は、蓄積され続ける「児童ポルノリスト」として、翌年以降の件数増加にも「貢献」することになるのだ。

これらの事から考えて、全体として「小学生以下」の内訳が増加するのも、現在の基準が存在する限り必然だと言えるだろう。少なくとも、事態が深刻化しつつある証明だと受け取ることはできない。【了】

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