PJ: 高橋 清隆
『実感なき景気回復に潜む金融恐慌の罠』の真相について 経済アナリストの菊池英博氏に聞く(4)
2007年09月30日 05:54 JST

文京学院大学でインタビューに答える菊池英博氏(撮影:高橋清隆、7月2日) 
(3)からのつづき。
−国の借金はネット、すなわち金融資産を引いた純債務で見なければならないと主張されてきたが、社会保険庁解体による金融システムへの影響はあるか。
「社会保険庁の役割は、年金基金の徴収と年金の支払いだ。金融システムへの影響という面から見ると、危険はこの年金基金で購入している国債が書き換えられなくなるときではないか。国の借金が公共投資を抑える口実にされてきた。しかし、政府は2007年3月末現在、GDPを上回る580兆円(推計値)の金融資産を持つ。外貨準備、内外投融資、年金基金や国民健康保険基金(社会保障基金)などである。
米国は920兆円の国債を発行しており、うち25%を外国人が保有し、その40%(約90兆円)を日本が保有している。最近、発展途上国が新規分はユーロに向けていると伝えられており、米国離れが進んでいるのではないだろうか。もしこの傾向が継続すると、米国は台所に火がついて、財政が破たんしてしまう。だからわが国に郵政公社の民営化を要請し、その資金で対外的債務(約2兆ドル、240兆円)を安定化したいのだろう。
−巻末に「社会的に行動すべし」とあったが、国民レベルでどうすればよいのか。
「当初述べたとおり、わたしは2001年からの『構造改革』は『ビジョンなき破壊活動』と思っており、安倍内閣でも継続されている。この破壊路線を止めるには、最後には政治になるが、一人ひとりが立場上、できることをすべきであろう。国民は政府の政策をよく判断して、選挙や社会的活動をすることではないだろうか」
「最近、偽装事件が相次いでいる。『構造改革』は、本質的にも偽装されたもの。規制緩和の下でこうした偽装犯罪が許される風潮ができているのではないかと懸念する。しかも、ある意味ではマスコミがこうしたムードをたたえてきたのではないか。象徴的な例が、2005年の『9.11選挙』だ。特に民放テレビは『郵政民営化がいい』と宣伝し、『女刺客』を正義であるかのように放映した。これに便乗したのがフリーターやニートなど、小泉改革の犠牲者になっている人だと聞く。これは恐ろしいことだ。事の重大性を認識して、自ら考え行動を取ってほしい」【つづく】
■関連情報
【書評】『実感なき景気回復に潜む金融恐慌の罠・このままでは日本の経済システムが崩壊する−−ゆうちょ銀行、かんぽ生命が引き金を引く−−』(菊池英博著、ダイヤモンド社 2007.6)
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